「運命」の動機(モチーフ)

「運命」のモチーフ これも赤松先生の「音楽解体メモ」からお題のヒントをいただきました。<m(__)m>
運命は3つ叩かれなければいけない。2つではありふれていて「特別」を感じないからです。試しに、2つにすると「当たり前」のリズムです。たいした用事でなければノックは2つにするでしょう。3つは「緊急」です。ここまでは枕にしておいて、本題です。
ベートーヴェンの交響曲第5番の出だしは、8分休符です。クラシックの指揮者でこの8分休符にこだわらなかった人はおそらくいないでしょう。
では質問、この「冒頭の休符は聴こえますか?」これに対し10人中10人が「聴こえる」と答えます。
強拍は、普段は「音がある」ことで安定しますが、そこに音がないと「安定」が崩れます。それがその次に出てくる音にかかってきます。非常に「不安定」です。
譜例1の①と②、似ていますが休符の「パワー」によって全然違ってきます。
②の形は3楽章に使われています。譜例2のホルンです。他の曲の「運命の動機」もこの形が多いです。(例えばピアノソナタ第23番の第1楽章など)
それともうひとつ重要なことです。①は、組み合わせ、重ねることができるのです。それが譜例3です。
さて、それでピアノでこのような箇所を弾くときに、私が気になることです。譜例4のAのように聞こえてはいけない。あくまでBのように聞こえるべきです。これは「ピアノの楽譜を見るときに再構成して音楽を考える」ことが要求されています。仮に「A」のように楽譜に楽譜に書かれていても、Bのように作曲家は考えているかもしれない、ということです。
以前「ピアノの楽譜は省略されている」を書いた時に、もしこの交響曲をピアノで弾いたら、というアイデアが私にはありました。「手は休んでいなくても、休符が存在し、聞かせなければならない」ということもあります。
以前の文章の多くがおそらく根底に、ベートーヴェンの交響曲第5番があったような気がします。
 
私は、ベートーヴェンが②だけでなく①を使ったことがすごいことだと思っています。この休符は「西洋音楽史に燦然と輝く」価値を持っています。これを入れることにより「運命」の動機は立ち上がり、組み合わされ、まるでミケランジェロの彫刻のように私たちの前に現れたのだと言えます

この曲から教わったこと、そして考えたことなど
1.休符が「聞こえる」ということ。また休符が強弱や表情を持っていること。これを「あらゆる楽曲」に拡大して考えてみた。
2.ポリフォニーの考え方。ピアノの譜面を「オーケストラ」のように見て、各パート譜について考えることをしてみた。

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