スケールの練習の時に考える

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あるレッスンを見学する機会がありました。N先生のお宅で、受験生がベートーヴェンのソナタを弾いていました。先生は有るところで生徒の演奏を止めさせ「ニ長調の音階を弾いてみなさい」と言いました。
その個所は「ニ長調の響き」の中にいる。それが実感できないと、無味乾燥な演奏になる。そのようなことをおっしゃりたかったのだと思います。
音階の各音には「方向性」とも「役割」とも言えるようなことが存在します。短調の音階に臨時記号を付けるのは「導音」を作るためです。つまり音階の中に「半音」を入れると上の音に抵抗なく上がろうとします。
そうすると、長調には2か所半音があります。確か「トンプソン」だったと思いますが「テトラコード」として紹介されていますが。これは近親調との関係がわかる興味深い考え方であり、「なぜ近親調に移りやすいか」も理解できると思います。(譜例1)五度圏も参照
長調と短調の決定的な違いは、音階の3番目の音。つまり第3音が第4音に対する導音的な役割を担っているかどうか、ということになります。楽曲の中でこれを意識し、表情に反映することは可能です。(譜例2の赤○)
ところで、♯や♭の位置によって、調に色合いが出てきます。(完全な平均律であったらそれは演奏者の感性の問題ですが…)シャープ系の調は、導音にシャープがつく。そしてニ長調からずっと第3音にシャープがつく。それによって「上昇志向」がはっきり打ち出せる調と言えるかもしれません。嬰ハ長調は第3音と導音が「白鍵のシャープ」であり、より演奏者に意識が増すのは、以前述べました。
フラットは第4音、変ロ長調以降は主音にフラットがつく、あがるべき目的の音が、「下げられた」イメージがあり、「ホッとする」イメージにつながっているのでしょう。
これらは主観的なことですが、そのように音の意味を味わい感じつつゆっくりスケールを弾くことは大切なことだと思います。また、「異名同主調」(嬰ハ長調と変ニ長調など)もそれぞれ練習すべきでしょう。そこから言うと、「バーナム全調の練習」は正しいあり方だと思います。

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