ピアノのレッスンで生徒に注意するときの様々な言葉①

ピアノのレッスンでは、様々な言葉で生徒に注意する。「もっと歌って」「楽しそうに」「悲しそうに」などと、大まかな表情を言うこともあれば「そこはあわてずに丁寧に」とか「少し前向きに」などということもある
さらに「そこのペダルは早めに切って」とか「1の指を丁寧に鍵盤に置いて」とか「和音の手の移動は云々・・」などと、具体的な動きについて言及することもある。
「もっと歌って」「楽しそうに」「悲しそうに」などというのは、「聴く立場」の人が「全体の雰囲気がもっとこのようになるといい」というように思う場合である。指導者が言ったその言葉に対し、生徒=演奏者はそれに反応すべく具体的にタッチを変えたり、音のバランスを変えたりする。つまりこのような「聴き手側からの抽象的な」注意事項というのは、生徒がそのことを注意すべく、旋律のフレージングや形、ハーモニーの変化、他声部とのバランスや兼ね合いなどを判断し、実際に「タッチ」を変えたり「強弱」や「間」の取り方、リズムの感じ方、ペダルのタイミングなど、演奏にかかわるすべてのことをそれらに向けて考察し、実際の「弾き方の変化」が見込まれるだけの能力があるときにしか有効にならない。
生徒が「楽しそうに」「もっと歌って」などといわれても、何をどのように変えれば楽しそうに聴こえるのか、もっと歌ったように聴こえるかわからないことがある。この場合、具体的な事項について指示を出すことになる。先ほどの、演奏に必要な事項の様々なことを点検し、何を変えれば改善されるか具体的に考える。たとえば「リズムの感じ方」を変えてみて「タッチそのもの」も変化させる、フレーズの形や長さを確かめ、強弱や間の取り方、大切な音の弾き方を変えてみるとかである。
コンクールの審査で講評を書くことがある。どうしても大概は、抽象的にならざるを得ない。「32小節目の旋律が歌えていないのは、そこのハーモニーのサブドミナントに行くとき1ノ指が柔軟でないから云々・・・」とはかけずに、「提示部の第二主題はもっと歌うように」と書いて終わりだ。具体的なことは、現場の先生に託される。「もっと歌うように」や「そこはゆったりした雰囲気で」という言葉から、様々な事項を点検し、改善していく。
レッスンの現場で使う注意事項が「抽象的」であるか「具体的」であるか様々なレベルがあって中間も存在する。たとえばただ、「歌いなさい」「元気よく」ではなく、左手の旋律に表情を込めて」「右手の内声をくっきりと」そうすると、より生徒は注意のピントが絞れるが「表情豊かに弾くために実際に出す音を変えるための工夫」「右手の内声をくっきりとするための工夫」を考えて行わなければならない。
もっと「指の動きをフィギアスケートのステップのように」とか「手の動きは木の葉が舞い落ちるように」などと具体的な動きを比喩で話すこともある。手で、大きな円を中に書いてもらって「この中に満ち溢れるように」と言ったり、遠くを指差して「そこへとどくように」と意識を向けたりすることもある。

「意識の変化」→「動きの変化」→「音、音楽の変化」注意事項がこれらのうちどれに当てはまるのか?ついついこのうちのどれかだけを言って、ほかが何も変化しない。ということが起こってしまう。
この3つが本当に良くなったかどうかを確認したい。

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