2007年11月10日リサイタルに寄せて・なぜシューマンなのか?
今まで、作曲家の特集として、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、メンデルスゾーン、ドビュッシーを取り上げてきました。私が特集として作曲家を取り上げる理由は2つあります。
1、一人の作曲家が、さまざまな局面を見せている作品を書いていること。
2、後世への影響が多く見られる作品を書いていること。
1については、もし、一人の作曲家の作品が数多くあっても、一晩演奏するのに同じパターンのものしか並べられなかったら、あまり意味がないと考えます。
2については、私の考える大作曲家の基準です。
この中で、メンデルスゾーンは、オルガニストの土橋薫氏との演奏会でした(甲南女子大学)。メンデルスゾーンの作品の中でも、バッハの影響を受けたものに焦点を当てました。日本におけるメンデルスゾーンの受容が、あまりに偏っていると考えていたからこそ、意味があったと思います。
また、モーツァルトは、数少ない短調の作品を取り上げました。あまり顧みられてない作品群ですが、後世のベートーヴェンなどへの影響が大きいと考えたからです。
さて、シューマンですが、彼は何よりも評論家として活躍したことが大きいと考えています。同時代の多くの作曲家と交流を持ち、それらを評論しながら自身も作品を書いていった。ある意味で、ロマン派のリーダー的な役割を担ったと考えるべきでしょう。過去の遺産を受け取り、そして時代にふさわしい新しさを作り出していきます。
ロマン派の時代、音楽会には中産階級の人々が来るようになり、音楽家は、一般大衆に向かって物を言うようになっていきます。それを最も意識した人は、シューマンではないでしょうか?
この日に演奏する「謝肉祭」は、まったく新しい形式の組曲です。バーチャルな「ダヴィド同盟」のメンバーがさまざまな音楽を繰り広げていきます。メンバーには、クララやショパン、パガニーニもいます。
ソナタ第1番は、その同盟のメンバーの中でも中心人物である、フロレスタンとオイセビウス(シューマンが評論で使ったペンネームのうちの二人)によって書かれています。今、シューマンの作品を取り上げ、後世に告がれていったものを確認したいと考えています。特にドビュッシー、ブラームス、この二人には多大な影響を与えたと考えています。
もうすぐシューマン生誕200年(シューマンだけではないが)が来ます。それまでに、ロマン派の中でのシューマンのありようを確認したいと考えています。
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