「何があろうと音楽は在りつづけなければなりません」 ナディア・ブーランジェ
「ナディア・ブーランジェとの対話」エリオット・カーター氏(アメリカの作曲家1908-2012)の献辞から抜粋(1985年)
私は未だに1934年に起こったスタビスキー事件の日のことを覚えている。コンコルド広場では暴動がおこり、地下鉄は止まり、パリの道は暴徒のために歩くことさえ危険な状態にあった。私は対位法のレッスンを受けるため滞在していたホテルからエコール・ノルマルまで、セーヌ河の左岸を何マイルも恐怖にさらされながらパリの町中を歩いた。他の生徒の何人かは万全を期して欠席していたが、マドモアゼル(ナディア・ブーランジェ)はそこにいらした。そして、悲しげな微笑みを浮かべながら「何があろうと音楽は在りつづけなければなりません」といわれたのである。
ナディア・ブーランジェとの対話 (日本語) 単行本 – 1998/12/10 ブルノー モンサンジャン (著), Bruno Monsaingeon (原著), 佐藤 祐子 (翻訳)