小2男の子のレッスン
昨日は、小学校2年生の男の子が、ベートーヴェンのソナチネ ト長調(ソナチネアルバム第2巻に入っている曲)を弾いた。8分音符がよたよたして危なっかしい。
普通だったらここで、ピアノの先生は「指が弱いからよたよたする」と考えるだろう。そしてハノンでもやらせることを考えるだろう。しかし私は即座に「フォルテとピアノをはっきりつけて弾いてみよう」といった。
彼はたちまち蘇ったようにメリハリのはっきりした素晴らしい演奏をした。もちろん8分音符も転ばずに弾けた。
これはどういうことだろう?おそらく、彼は「フォルテとピアノをはっきりする」ために神経を指先に集中した。そして姿勢もよくなった。当然神経が指先に集中しているので、転ぶことはない。
音の強弱をつけたりすることによって、手のフォームがよくなったり指返しが楽になったりすることは多い。それは「注意ををどこに持つか」をコントロールすることにつながる。たとえば4オクターブのスケールを弾く時、指返しがスムーズでないときに大きいフレーズを感じてゆったりした表情で弾こうとすると、大きなスラーに小さな細かい動きが吸収されて指返しが大げさなフォームにならないので、きれいになることが多い。
ピアノの先生はたんに弾けないのを「指が弱い」せいにして安易な「筋トレ」に走るのでなく、ピアノを弾く神経の使い方をよく理解するべきだと考えている。