シンフォニア11番
ここで気になるのは「中声部の明確性」だと思う。なぜならタイによってリズムが複雑である。また、このタイによって伸ばされた音が、他声部との「ぶつかり」を起こしている。実に「リズムとハーモニー両方」で緊張感の高い声部だといえる。つまり、この内声が、明確に意識されているかどうか、大きいと考えられる。
たとえば、ずるずると音が残ってしまうと「音の方向」がわからなくなるし、伸ばされるべき音、タイの最後まで伸ばされないと、2度の緊張感が消えてしまう。特に囲ったところが危なくなる。
①1オクターブの跳躍が聞こえるか?でないと、音形の動きが継続しなくなる。音が伸びて②③④の瞬間に、それぞれ2度を形成しては解決するのが聞こえるか?つまり、これらのことを注意しつつ演奏する。すると「内声に対する注意」が変わってくる。
よく下の譜例のようなことになってしまう。
このようになると、①②③④の要素がすべて消えてしまう。
「2度のぶつかりのもつ緊張状態が高いだけでなく、それを作るために内声を注意深く演奏する緊張状態」この2つがここに認められる。
内声の音形、リズムを厳格に、そしてその結果得られる一瞬の「2度音程」を聞き逃さない。それが演奏に生かされると、きわめて緊張状態の高い演奏として表現されます。
このようなことを知ると、演奏者は「この点がわかるように弾こう」とする。