ベートーヴェン ピアノソナタ第14番作品27-2 (幻想曲風ソナタ)に関する様々なこと

今回のお題は、この曲。通称 月光 として有名ですが、あえて上記のタイトルにしました。
この曲は作品27「2つの幻想曲風ソナタ」の2番目のものの第1楽章です。
作品27の2つのソナタは全く違う試みがされています。どちらも「これまでなされなかった」手法が用いられ、あとから続く作曲家たちに、多大な影響を与えました。まず作品27ー1は、全体をアタッカで有機的につなげ、ソナタ形式の楽章がない等、従来のソナタから外れた構成をとっています。終楽章に「回想」の部分が出てくるなど、後期の28番ソナタの先取りとも言えます。これはリストのソナタや、フランクの循環形式などに影響を与えたことが考えられます。
では作品27-2は「新しいピアノの使い方」をベートーヴェンが「発明」「開発」したものと考えています。
このように、真ん中にアルペジオをはさんで上声と下声で歌うピアノの扱いは、これまで出てこなかった、ピアノの音域の広がりや、豊かな響きがあって効果の出る方法です。(ここで私はバッハのオルガンのためのコラール前奏曲を思い起こしました。私はこの曲をCDに録音しています)   
のベートーヴェンはおそらく「ピアノの改良、発展」を見越して、このような曲を書いたのでしょう。譜例に見られるように、ロマン派の作曲家たちがこの手法を踏襲しています。
さて3楽章、ここの部分にはには、メロディーといったものが存在しません。ソドミソドミソ・・・・というのはアルペジオでありcis-mollのカデンツをかき鳴らしています。もし、この部分をオーケストラに編曲するとソドミソドミソ・・・というのは全く意識されないでしょう。このように大胆にピアノを鳴らして
響きで音楽を持っていくやり方、実にオーケストラ的です。リストのソナタの一部分を掲げてみました。なんと似ていることでしょう。


これは大雑把な言い方ですが、おそらくベートーヴェンはこの作品27のソナタで、第1番には形式的な実験を行い、第2番にはピアノの響きをより豊かに大胆に使うことを考えたのではないでしょうか?この2曲、よく「実験的ソナタ」と言われますが、その実験のコンセプトは非常にはっきりしていて、なおかつ成功している。また次世代の作曲家たちが積極的に応用している。という「本当の意味での名作」にふさわしいものだと思います。
次回は、このソナタの第1楽章の「弾き方・テクニック」に関する諸問題に触れてみます。

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