モーツァルト Kv.332 出だしが気になっていた

ピアノ演奏の基本の問題も、考え続けています。私は何かと気が散ってしまうようで、今回は前々から気になっていたこの曲のこの部分についてです。
モーツァルト Kv.332
このヘ長調のソナタ、出だしの部分が以前から気になっていた。譜例A それは2小節目のハーモニー。F-durのⅠの和音を引っ張らずに4度5度(下属調のⅤの属7の和音)を使っている。Bと弾き比べてみると、差は歴然としている。左手のパートが「単なる伴奏」ではなく「音楽を積極的に動かして」いる。さてこれをG-durでやってみると、もう一つパッとしない。譜例C
そう、キーになるのは「es」である。G-durに移調すると「f」になってしまう。つまり「♭」をつけることで黒鍵を弾く。それによってその和音がより「目立つ」のだ。「どんな調でもよい」わけではない。
ここに、「es」音は「f」とは違う個性を発揮している。やはり大作曲家はこのようなことをうまく使う。
この曲が「F-dur」であることでもう一つ。第3楽章の出だし。この「F」は、この当時の楽器の最高音である。譜例D つまり「目いっぱい」を表現したかったのだ。現代のピアノでは、まだまだ上の音があり、このことに気が付きにくいが、モーツァルトの楽器ではにとっては、これが精いっぱい。現代の楽器を弾く人たちも、そのことを頭の片隅に置いていたい。確か、だいぶ前に仲道郁代さんが、ベートーヴェンのピアノソナタ第1番を弾いたときに、このソナタはベートーヴェンが、ピアノの音域を最大限使いたいので、f-mollにしたのでは、とおっしゃっていた。それと同じことだと思う。

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