ピアノの練習・シミュレーション力をきたえるには
アルゲリッチだったかな?通学のバスの中で楽譜を見ているだけでラヴェルの協奏曲が弾けるようになったという。(様々な異論、いやそれはリヒテルだとかギーゼキングだとかバスじゃなくて電車の中だとか、ラヴェルじゃなくてシューマンだとかあるけど・・・は置いておいて)
要するに「頭の中で、ピアノを弾くことをシミレーションしちゃう」ということ。私みたいな凡人にはとてもとても、かもしれないけれど、電車で移動、なんていうのは日常のことで、あるいはボーっとした暇な時間などにもし少しでも「シミュレーション」できれば、練習時間の節約になるかもしれないです。
つまり「アルゲリッチがバスの中で楽譜を見ている」ときの「頭の中」がどのようになっているか、また、私のような凡人が、その仕組みに近いことができるか、あるいはできるようにするには、どのような訓練がいいのか、ということです。何かヒントはないだろうか、と言ってこんなことでアルゲリッチさんに手紙を書いても・・・・
でも、ヒントになることはありました。以前、バッハのシンフォニアを暗譜して、五線紙に書いたことがありました。この時に、どのようなことを考え、どのように書いていったか思い出してみました。こちらです。
当然書きながら「ここはなんだったっけ?」って思います。そのときに「さっき弾いた手指の位置」だとか「ぼんやり眺めていた楽譜の風景の解像度を脳内で上げていく」なんて作業を、無理やりします。
頭の中では「鍵盤の上で指が動い」たり「うすぼんやりした楽譜の風景の解像度を上げる」ことによって「なんとなく」が「よりはっきり」になってきます。
すると「脳内でピアノを弾く」「楽譜を読む」訓練になる。また実際に「ピアノで弾いたときに、脳内練習でも困らないようによく見聞きしておこう」になります。
とにかく、五線紙と鉛筆、消しゴムがあればできます。おそらくバッハのインベンション、シンフォニア、平均律のフーガなどが勉強になると思います。「何度も弾いて、暗譜してから書く」それだけです。忘れたら極力「思い出そうとする」ことです。その「忘れたことを思い出そうとする」こと自体が「シミュレーション」であることが多いですから。
何よりも「自分自身の経験と観察」が大切だということです。このようなことをやったことの人の「体験談」を聞いたって、何もならない。本人がやってみて「なるほど」とか「違うんじゃないの」とか「ああこんなこともあるんだ」ということが大切です。
やってみてそのあとの「ピアノ練習や弾き方」がどのように変わったか、変わらなかったか。そもそも「どのように変わったか」と注意すること自体でも、変わっていく可能性があります。
とにかく「ふ~ん」て話を聞いているだけでなく、自分でやってみることです。「自分の体験は他人に譲り渡したりできない」から・・・