先日のレッスンから

こんにちは。
明石市魚住の大竹ピアノ教室の大竹道哉です。
本日もブログを発信していきます。

先日のレッスンで、生徒の弾く音は、すべてがバラバラでそろっていませんでした。
図にするとこんな感じです。

さて、そこで私は「本当の原因は、生徒が自分の音を聴いていないためだ」と判断し、次のようにやってみて、と言いました。「丁寧にcrescendo、だんだん大きくなるように」
さて、そこで初めて生徒は、自分の出す音と向き合いました。
たとえば、上の図を「crescendo」というと

のようになるでしょう。これだけ形が違うと、crescendoには聞こえないものです。つまり必然的に

のようにしようと努力します。
実際に生徒が弾いたエクササイズの一部

三連符を一つの〇と感じて、その〇を少しづつ大きくしていく。
音の属性は「強弱」だけではないことは承知していますが、「強弱」への注意が、音の持つ他の属性を呼び覚ましたり、呼び起こしたりすることがあります。もちろん、技術的な問題、指の形や動きなどによって、阻まれることがあります。さらにそれを取り除きやすくなることは考えられます。

ちょっと違うかもしれませんが、ベートーヴェンはよくこのようなことをやっています。

ここでは「強弱の操作によって、緊張状態を高める」ということがおきます。まずは一義的に「演奏者の緊張状態」を高めます。(この類のベートーヴェンの強弱の扱いについては、版によって表記が様々なので、別に意味での議論が必要かもしれませんが)

レッスンの現場でも自分の現場でも「これができていない」ということに囚われてしまう。そんな時「一つ上の次元」のことをやってみようと思うことによって、解決の糸口が見えることがあります。

また、先日お話しした「ありえない指示」ですが、たとえばこのような音を「最後まで伸ばして」というよりも、
「その音をcrescendo」と考えたほうが、より、はっきりすると思います。

バッハ:シンフォニア第1番 赤〇の音を「伸ばしなさい」というより、赤で記したクレッシェンドの方が、より確実に、しかも音楽的に弾かれる。
レッスンや練習の現場では「あることができない」ということで行き止まりにしている間は、このような方法やアイデアは出てきません。頭を柔軟にして「できるできないではなく、一つ次元の上のこと」を目指すのも、いいと思います。
ただ、レッスンの現場では「生徒が何を聴いていて、何を聴いていないか?何に注意が向いていて、何に注意が向いていないか?」を指導者が的確にとらえる必要があります。これついては、ある程度の一般論は記述できますが、デリケートな問題であり「現場での経験やカン」といったものに頼ることになるとも思います。私も、やってみてからあとから理由を考えることが多い(今回もそのケース)です。

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