単純な形から
①「バッハ・インベンション6番」
この曲は、なにかと難しいと思われてるようです。それは展開部に臨時記号、とりわけダブルシャープなんてものがあったりするから、何だかややこしい、と思われています。ここで今このインベンションをレッスンでやっている人は絶対にスルーしてください。このサイトを閉じてください。なぜなら「譜読み」をしちゃうからです。
まず、この曲の主題は2つのスケールを互い違いに配置しています。そのあとアルペジオを装飾しています。この曲はこの2つの要素で成り立っているわけです。展開部の臨時記号の多い部分ですが、楽譜を書き変えてみるとアルペジオを装飾したことにすぎないのがわかります。このように「芯の部分」を正しく把握することが楽譜を読むコツだと言えます。ですからこのインベンションは「変奏と装飾」がテーマなのだと思います。
②「バッハ・シンフォニア5番」
これには大まかに言って装飾のない楽譜と、装飾のある楽譜、そして校訂者が演奏法を示した楽譜の三種類が存在します。私は生徒には「校訂者が演奏法を示した楽譜」は、無視させます。
レッスンでは次のようにしています。
1.装飾のない状態で練習し、音楽の表情、流れをつかむ。
2.バッハの書いた装飾譜を見て入れる装飾とその弾き方を自分で考えて入れる。もちろん趣味良く様式に沿ったものということを忘れずに。C.P.E.バッハの著作なども参考に
ここで重要なのは「自分で考える」ということです。。バッハの書いたもの、当時の様式、演奏に使う楽器の違いなども考慮に入れつつ「どのように弾けばこの曲のこの部分に似合うか」と考えながら先生と生徒が装飾をつけていく。そんなレッスンもいいものだと思います。レッスンでは☆印のところに繰り返しを設定して、1度目は装飾なし、2度目は装飾ありで弾いてみたりもします。
③「バッハ・シンフォニア13番」
このテーマと対旋律を見て驚きました。主題がここまで単純だとは・・・・また、対旋律の対位法もまるで対位法の最初のページの模範解答みたい…これがバッハの手にかかるとここまでの曲になるのですね。