意識を移す
ショパンのエチュード作品25-9です。これは青で囲った右手のオクターブが難しいと思います。なかなか軽やかに弾けない。そこで、意外な方法があります。左手の赤で囲った○、特に1の指に注意を向けます。この1の指を「歌わそう」と思うと、右手の重さが抜け、全体がまとまった響きになると思います。
このような場合、演奏者はどうしても「技術的に難しい」と思いがちなところに意識を向けます。ところが多くの場合この「意識」により、過重に力が入ったり、余計な動きが混ざったりします。特にこのオクターブは「縦揺れ」が増えてしまいます。左の親指に意識を向けることにより、この縦揺れがなくなり、軽やかなリズムを作り、響きの中核として全体の響きをまとめます。
難しいときには、もう片手のやさしいパートにも意識を向けてみます。「必ずしも」というわけではありませんが、技術的なことが解決することがよくあります。