二分の二拍子、四分の四拍子ではない!
こんにちは。
明石市魚住の大竹ピアノ教室の大竹道哉です。
本日もブログを発信していきます。
ベートーヴェンのピアノソナタ、
第1番、第9番それぞれの終楽章です。ここで、ベートーヴェンは「二分の二拍子」を使っています。四分の四拍子と、何が違うのか、実際の演奏では、その音にはっきりした違いがどのように出るのか、考察していきたいです。また、この考察が、他の様々な音楽の場面で、応用できるかもしれないです。
さて、出だしの四分音符二つに注目、四分の四拍子で弾いた場合と、二分の二拍子で弾いた場合と、違って聞こえます。これはなぜか考察してみます。
右手はどちらも、「1と」が休みで「2と」から入ります。右手の四分音符は「1と」の「と」に準備されます。ここが重要で、もしこれが4分の4拍子だったら「1234」の「2」に準備されます。「と」のほうが「不安定」です。このために「と」で準備されるほうが「緊張感・緊迫感」があります。これによって最初の二つの四分音符は、緊張感のある出だしとなります。また、2拍目にある二つの四分音符も「34」よりも「2と」のほうが、2つの音の結びつきが強く感じられます。
ベートーヴェンは、このわずかな個所で「二分の二拍子」を積極的に表現に利用しています。
「数え方」は「音と音の結びつき」や「音を出すタイミング」などを様々に変えます。それは、出てくる音そのものに直接結びついています。
さて、有名な「いわゆる月光ソナタ」幻想曲風ソナタ作品27-2を見てみます。第一楽章が二分の二拍子、第三楽章が四分の四拍子です。
これについて、考察します。もちろん、様々な見方ができ、私とは別の意見もあるかと思います。
第一楽章は、たくさん拍節を刻むと、長い線が聞こえてこなくなり、曲の情緒が失われる。
第三楽章は、一小節を4つ刻むことにより、せかすような緊迫感を生み出す。
もちろんこれだけではないとは思います。二分の二拍子をあえて四分の四拍子に数えて弾いてみると、何が違ってくるのか、よく観察する。そのようなことの繰り返しで「拍子やリズム、フレーズ、テンポ」などを考える力が、増えていくと思うのです。
(ベートーヴェンの楽曲の中には、二分の二拍子と四分の四拍子、両方の版が存在するものもみ受けられます。ソナタ第10番の第2楽章や、ピアノ協奏曲第5番の第2楽章などです。)