「猿真似」にならないように

私たちは、自分の課題の曲を演奏するために、しばしば他人の演奏を聴きます。また、指導者がある特定の演奏を聴かせたり聴くことを勧めたりします。
そこで大きな問題は「真似」ということです。何が「単なる真似」で、何が「模倣」なのか。

だいぶ昔ですが、ゴッホ(Vincent Willem van Gogh、1853-90)が、日本の浮世絵を模写したものを、美術館で見る機会がありました。まずは元の絵の通りに描く、描くその中からその背後にある「何か」を読み取り、自分の新しい基準にしていく。そんな姿勢が見て取れます。

他人の演奏を参考にするのも、同じことだと思います。その演奏がどのような「表現方法」や「尺度」を持っているのかを新たに見つけ、自分の表現の可能性に落とし込んでいく。そのために一時的に「真似」もあると思います。

いけないのは「対象の演奏を自分の価値基準だけで見る(聴く)」ことではないだろうか、とおもいます。「速い遅い強い弱い」だけの価値基準で真似しても、滑稽なだけになるのでは?
本当に優れた演奏はもっともっと多くの基準、奥行きや広がりのある「尺度」を持っています。だから、自分の持っている数少ない貧弱な尺度だけで優れた演奏の真似をしても、入りきるものではないです。そのためにも「自分のものの見方を広げる」「尺度を増やす」ことが要求されます。

指導者は、生徒がそこに注意を払うように目を(耳を)向けさせることが必要。ただ「これこれを聴きなさい」ではなく「これこれのこの点は、どのように優れている」ということを「視野を広げる」ように伝えていくことが必要だと思います。

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