ショパンは何を楽譜に書いたか?
こんにちは。
明石市魚住の大竹ピアノ教室の大竹道哉です。
本日もブログを発信していきます。
ショパンの楽譜をいくつか見ると、非常に音楽の動きがよくわかる書き方、その音楽の内容からしてあまりにぶっきらぼうな書き方、両者が存在する。
たとえば、マズルカなどのアーテキュレーションは、実に細かく丁寧に書かれている。
一方、スケルツォ第1番の中間部を見ると、この部分で奏でられる「幼きイエスよ」の旋律が見えない書き方になっている。
また、ソナタ第3番の終楽章も、旋律線の見えない書き方になっている。
また、ショパンはまずAを書いて、それをBのようにあらためたことが、わかっている。(註釈)
それぞれの事例がバラバラに見えるが、この記譜法に一貫性が考えられる。
「響く音」ではなく「演奏するときに手指はどのように鍵盤に置かれ、またどのタイミングでペダルが踏まれるか」を楽譜に記している。
すると、譜面上に次のようなことが起きる。
1.片手で「一つの声部」を扱う場合、そのアーテキュレーションが克明に記される
2.片手で多声部を扱う場合、それぞれの声部の間を行き来する手の状態そのものが、楽譜に記される。
つまり、1の場合は「音楽的」に感じられるが、2の場合は一見「非音楽的」な表現にとられる。すると、このような楽譜を演奏する場合、演奏者がその「線」を見つけてつながるよう配慮しなければならない。
特に、見過ごされがちなこと。ワルツの伴奏部分には、次のようなリズムは、存在しない
。
しかし、ショパンのワルツを見てみると上記の記譜がある
これはどういうことだろう?
本来は
という書き方をされるのではないだろうか?現に、12小節は
つまり、彼にとって楽譜の音符は、片手の中の2つの声部を示すという「音楽的な響き」ではなく「手指がどのように鍵盤上を進むか抑えているか」を時系列に従って、淡々と描いている、ということになる。すると
・右手、左手がそれぞれ一つの声部だった場合、そのアーテキュレーションが克明に描かれる。
・片手の中に複数の声部があった場合、時系列に従って鍵盤を指で抑えている時間がかかれているので、演奏者はその声部を「解釈して響かせなければならない」
・彼の楽譜の記述で、多声部のようになっているのは「同時に長さの違う音を抑える」という意味である。
註釈・奈良教育大学紀要 第59巻 第1 号(人文・社会)平成22年
Bull. Nara Univ. Educ., Vol. 59, No. 1 (Cult. & Soc. ), 2010
ショパン作曲《Etudes op.25》の原典版楽譜の研究
-No. 1 、No. 2 の原資料に基づいて-
前田則子 奈良教育大学音楽教育講座(器楽)
多田純一 大阪芸術大学大学院芸術研究科博士課程後期在学
⇒こちらで閲覧できます。
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