現代ピアノを弾く時に注意すること
楽譜をちょっとひとひねりしてみました。
①上の楽譜ははオリジナル、下のようになったら、伴奏である左手パートの音は、伴奏と思って小さく弾くと、バランスがとれません。そうすると本当は「伴奏だから静かに弾く」というよりも「音の数が多い方を静かに弾く」のかも、と思います。ピアノという楽器は「音符の数だけ叩かれている」わけです。つまり、「伴奏だから静かに弾く」よりも「音の数が多いから静かに弾く」のほうが理にかなっているかも。
そこで次のケース。
②このトリルはうるさくなりやすいものです。かなり軽く小さく弾かないとバランスがとれません。しかし少なくとも音量の加減に制限のあるチェンバロでは、この問題は起きなかったと思われます。ということは「現代ピアノは音が重く邪魔になりやすい」のでは?わたしはそのように考えています。先日も、楽器博物館へ行き(1月25日のタイムライン)古典ピアノを弾きましたが、音は軽く、トリルなどもうるさくなりません。おそらく19世紀後半以降の「現代ピアノ」の音が重いから、音符の数だけかさばってうるさく聞こえやすいのだと思います。
ショパンのバラード第2番に、このようなトリルがありますが、
③現代ピアノで演奏すると、すぐにうるさくなってしまいます。ショパンやシューマンの時代のピアノは、まだ今のような張力の強い弦ではなく、音もずっと軽かったです。鉄骨も入っていなかったし、響きはずっと軽かったです。ですから、私の考えではロマン派中期ぐらいまでは「楽器に対する注意」をしつつ実際の強弱をバランスよく考えていかないといけない。「ペダルの踏み方」も、ロマン派と現代とは楽器の響きもかなり差があるので、細心の注意が必要です。