譜読みの段階ですること
5月25日(土)午後3時 新大阪 b-teck japan でコンサートをします。
譜読み「何を読み込むか」
新しい曲をするときに、譜読みをする。いきなり楽器に向かうこともあれば、しばらく楽譜を眺めていることもある。私はこれらのどちらがいいかはあまり問題にしない。ここでは人それぞれだと思う。楽譜を眺めるだけで演奏がシュミレーションできるならば、できたほうがいい。これはこれで訓練するといいと思う。
本当に問題なのは「ここで何を読み込もうとするか?」であると考えている。
最初は「一つ一つの音を正確に読む」ということはある。けれど問題は「それで安心してしまう」ことだ。
その「音の連なり」は、どのような調の中にいてどのようなハーモニーとなってどのように動いているのか。それを「自分の中でまとめられ」なければ「宙に浮いた関連性のない音」を読んだ、ちょうど「視力検査で文字を読んだ」のと同じになってしまう。必ず「読んだ音はある程度まとめて響きにする」つまり「音楽として意味のあるものにする」ことが必要。(眼科から家に帰ったら、読んだ文字は忘れている)
よく、私はレッスンでこれから弾く曲の調で「音階」を弾かせることがある。これで、ただ棒引きで正しい音を触ればいいわけではない。これから弾く楽曲の「音の構成」を感じながら「音階の一つ一つの音を味わいながら」弾かせる。アルペジオやカデンツ、大雑把な和音の展開を楽曲から弾かせることもある。それで「自分が弾く、そこにいる」響きを感じる。それだけで、たいていは響かせ方が違ってくる。「弾いているとき自分がどこにいるかがわかる」からだ。和音記号を書くのもいいが「和音記号から実際の響き」につながることがとても重要。「紙の上での和音記号」だけだったら「音・響き」ではないからだ。
ピアノなどの鍵盤楽器は、一度に多くの音を出せる。そこで「どれだけの人が演奏しているか」パートがいくつあるか、ということを考える必要がある。初歩の曲は「右手・左手」という「二人であること」が多いが、ハーモニーや、内声が出てきたり、楽譜に書いていなくても「背後のハーモニー」を響かせるように考える。ということも出てくる。オーケストラでは「五線を一段増やして、楽器を書き込んでしまえば」一つのパートが増えるわけである。ピアノでも「どのようなパートがあるのか」(もちろん決まった正解がいつでもあるわけではないけれど)覚悟して楽譜を読む必要がある。「片手だけの練習は必要だけど、それがどのように組み合わされて全体になるのか忘れたら、両手で合わせたときに不都合が起こる」少なくとも「リズムは休符も含めて正確に」弾く必要があるし、左右の手が組み合わさっている場合などは要注意だ。判で押したように、ただ「右手10回、左手10回」とはいかない。
「テクニック」これも「譜読みで読み取ろうとする」ことの一つだと思う。実際、最初の段階では「速く弾くものをゆっくり弾く」「つなげて弾くものを部分部分弾く」ことがある。だから、それぞれ「完成形」を想像しながら「練習時の弾き方」を考えていかなければいけない。「速く弾くことを想定してゆっくり弾く」とか「両手で演奏することを想定して片手を弾く」「ペダルを入れることを想定してペダルなしで弾く」など、実際は非常に注意深く行わなければいけない。指揮者が「フルートのパートだけを吹かせるときにコントラバスをよく聴きなさい」というような感じだと思う。
このような指摘は、ただ単に生徒が一人では困難である。だから「指導者がいる」のだと思う。生徒は「ひとりでそこまで考えられない」のが普通だと思う(もちろん考えられるようになるのが理想)
私は楽曲によって、生徒の理解力や志向などによって一回一回譜読みの筋道は違うと考えています。だからこそ「プロの指導者」が導くのだと思います。
また「譜読み読み込もうとしたことしたこと」だけが最終的に演奏で表せる内容だと考えています。譜読みのときに「音名」しか読もうとしなかったら、それ以上の仕上がりにならないものと考えています。