譜読みのレッスンの必要性
1日目「わ・・・がは・・いわね・・・・こであるな・・・まえ・・・はま・・だな・・・い」
2日目「わが・・・はいわね・・・こ・・・・であるな・・・まえはま・・・だない」
3日目「わがは・・・・いわねこ・・・・で・・・あ・・・るな・・・まえ・・・・はま・・だな・・い」
いつになったら、読めるようになるのでしょうか?
つぎのように弾いているかのようです。
で、左手はこう弾いていたりして
私は生徒たちが「ピアノの楽譜をこのように読んでいないか?」ということを危惧しています。このような「まとまりを欠いた」弾き方は「頭に入らない」「心に響かない」ので、上記の「1日目、2日目、3日目・・・」と同じことになっていきます。
本を読むときに、「字が読めたら(発音がわかったら)本が読めた」と考える人は、ほとんどいないでしょう。つまり、「音を読んだらすぐにまとまりを作ることをする」ハーモニー、メロディーなどです。注意しなければいけないことは「一定のテンポやリズムがあって、はじめて音は組織化されメロディーやハーモニー(の変化)を人は感じることができる」ということ。
上記の本の読み方、楽譜の読み方には、それがまったくありません。
ですから、「譜読みのレッスン」はぜひ必要です。生徒が音を読んだら、それをすぐに音楽的に意味のある「音楽の形」に変えていかせる。生徒にどのような手順で「個々の音」を「音楽」にしていくかの手順を説明し、それをレッスンの現場で覚えてもらう。
「読んだ個々の音」を「音楽として認識するように組織だてる」のは「譜読みの一部である」ということは明らかです。そうでないと、上記に書かれた「1日目、2日目、3日目」を延々とやってしまうことになるからです。
この譜読みのレッスンについてですが、いくつかの注意点があります。
1.先生が読んで生徒に教えるのではなく、生徒自身に音符を読ませる。
2.読んだ音符を、なるべくすぐに「旋律」「ハーモニー」にさせる。できる限り音楽的に弾く(これも生徒が行う)
3.できる限り「両手」まで持って行って、ゆっくりでいいから抑揚や表情もある状態、音楽として聴ける状態にする。いつまでも延々と片手ずつ練習していると、全体像ができなくなってしまうことがあるので、要注意
4.これらを「生徒の理解」を見ながら誘導する。また生徒がこれらを理解できるようにする。
5.先生がいなくても、ひとりでできるようにするのが目標。
※こちらもご参照ください
「譜読み」は「音を読む」のではなく「音楽を読む」のだから「なるべく音楽的に」弾くことはいうまでもありません。また、速い曲は、ていねいにゆっくり練習することになりますが「速くなったらどのような曲になるのか?」という関心を持ち、なるべく「実際のテンポで弾く場合につながるタッチ」で弾くことが望まれます。
音楽の在り方と、生徒の見方聴き方を絶えず観察しながら、注意深くやっていきます。ここは「ピアノの指導者」としての「プロの見方」が重要です。表面的に「単に正しい音」を弾いているのか、「理解してその音」を弾いているのかを観察していきます。表面的に見えることだけではすみません。「生徒が何を認識していて、何を認識していないか」を、絶えず確認しながらです。大変難しいです。間違っても安易な読み方「ぶら下がり読み」や「ジグザグ読み」をさせないこと。また、どのような頭の使い方をしているかを慎重に見極め、誘導していくこと。
「正しく譜読みをしているかどうか?」のカギは「かなり初歩」にあると考えられます。ただ「進度が速い」「見た目に達者に弾ける」ではなく「本質を見据えた」方法を考えたいものです。