作曲家との楽譜を通じた駆け引き

先日、ベートーヴェンのピアノソナタ第9番をレッスンしていた。この曲は強弱記号が効果的に配置されている。版によっての相違もあるが、今はそれはおいておく

この曲の強弱記号の一部は、自然な強弱の動きに逆らって配置されている。私がいつも気にかけているのは、第1楽章の再現の前である。何も強弱記号がなかったら、自然な程度のクレッシェンドをするだろう。あるいは程よいdim.かも。

さてここで、受けてである演奏者はどうするか。「何も考えずに服従的に従う」「無視する」と、この2つをまず考えてしまう。しかし、ベートーヴェンはここで「抵抗感を持ったdecresc.」を求めていたのかもしれない。
「私はここでcresc.をしたいのに、decresc.をしなければならない。そして再現でいきなりフォルテ」
このようにあれこれ考えているうちに、知らず知らずに「作曲家との楽譜を通じた駆け引き」のようなものを感じた。私たちは「楽譜」という「作曲家からの手紙」を前にして、対話、会話し音楽を作り上げていく。これこそが演奏者側の楽しみである。
ベートーヴェンは、演奏者である私に、いったい何をさせたいのか、それに対し、私はどのように応えていくのか、である。ただただ「上意下達」として「先生が言ったから、楽譜に書いてあるから」で思考をとめては何も出てこない。それでは「ベートーヴェンの意図」には届かない。
こちらの記事の Beethovenソナタ第7番も、同じことが言えます。

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