暗譜の極意

また、ピアノレッスンネタです。今回は暗譜について。

暗譜だけでなく、人間はどのようなことはっきりと強くを覚えるか、といえば、答えはいたって簡単「興味を持ったこと、感動したこと。心を動かしたこと」を強く覚える。これをピアノの練習に応用しない手はない。
だからレッスンで「暗譜したいなら、自分自身で感動するような弾き方をすること。綺麗に、表情豊かにひくこと」といつも言っている。「ボコボコ」とただ音を並べてもそれは音の羅列にしか感じないし、聞こえない。このような弾き方は、心には入っていかない。頭で覚えようとしても、頭の容量などはすぐにいっぱいになってしまう。どんな和音もちょっとした音の動きもそこに「気持ちの動き=感動」を聞き取れば、それは印象として覚えていく。積極的に「曲の表情を聴きとる」ことをしようとする。自分の手の感触と曲の表情を常に「心で」感じ取っていく。これが暗譜の基本だと私は考える
人間は「情報量」ではなく「興味の持ち方」によって「記憶か忘却か」を振り分けている。もし興味のないものをただ羅列的にやたら記憶してしまうとすれば、人間として「自分にとって対象がなんであるか」を考えるフィルターが欠如しているのかもしれない。
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岡田晩生「ピアノを弾く身体」より「手の構えと作品/演奏の美学」抜粋
・・・与えられた曲はいつも片手ずつでまず練習させられていたことも、よく覚えている。片手ずつ、信じられないほどゆっくりのテンポから、メトロノームを使って、どんな音もまずは大きな「しっかりした」音で(「ごまかさない」で)、一つも間違わずに弾けるようにさせられるのである。頭を空っぽにして、何も考えずとも「間違わないで」弾けるようになって初めて、両手を合わせて弾くことを許されるのだった。これは当時の私には苦痛きわまりなかった。片手だけだと和声の文脈などがわからないので、最初から両手で弾くよりもかえって曲を理解するのが遅くなるような気がした。
それに静かな曲でも大きな音で「しっかり」指を上げて弾かされるのには、子供心に閉口した。本来速いテンポの曲をスローモーションのようにゆっくり練習しても、かえって作品の流れ(ゲシュタルト)が飲み込めず、練習の効率が悪いような気もした。・・・
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のような弾き方は、曲をつまらなくし「頭の一部」だけで「音符のガラクタ」を無理に詰め込む行為に過ぎない。こちらも参照

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