力がはいりすぎたときに
何にでも当てはまるかもしれませんが、「力が入る(入りすぎる)」ということは、「何かをしよう」としているからおこることです。ですから、「何かをしよう」という「やる気」があるから「力が入ってしまう」のでしょう。
だからと言ってほっておいてはいけない。なぜ「力が入る(入りすぎる)」のか考えてみました。
人はある動作に対して、見返りを求めるものです。たとえば、物体を押すのは、物体を移動させようと思うからです。物体を押す時「力が入り」ます。でも、移動してしまえば「ああ、よかった」これは「力が入りすぎる」にはならないでしょう。では、もし物体が移動しなかったらどうでしょう。
1.もっと力を入れる
2.他の方法を考える(他の方法で動かす、コツをつかうなど)
3.あきらめる
さてそこで、1.のケースが問題になってきます。どんどん力を入れ、それでも動かない。これは心理的にも肉体的にも「疲労⇒腱鞘炎など」につながります。これがいわゆる「力が入る(入りすぎる)」状態だと言えます。
さて、ピアノ教師はどうしたものか、一度「脱力させる」ことは必要ですが、もう一度同じ道筋を通ると、また「力が入りすぎる」になります。「これだけ努力したのに=力を使ったのに、全く効果が表れない」これは不健康極まりない。
だったら2.が必要です。
場合によっては、生徒の「力」をうまく通る道筋に誘導してあげたらすむことがあります。「力をいい道筋に流してあげる」と通りがよくなり、たいして力を入れなくても、目的は達せられます。
また、どこを動かせばいいか間違っていたりすることもあります。多くは、「指」を動かすべき時に「腕」を動かしたり・・・・・
ピアノ演奏の場合、私は次の原則から考えを起こしていきます。
「自分が動くのではなく、ピアノに動きを伝える」その伝えられた動きが音になります。
もうひとつ、「余分な動き」についてです。「その動きは邪魔だから止めなさい」と言いたくなりますが。止めてはいけない。なぜなら「止める」というのは「動こう」とする動きと同じだけ力がいるのです。(写真)そこでどうするか。まず力をニュートラルにします。それから動く必要のない筋肉に対して「動く必要のない」ことをゆっくり丁寧に教えます。そこで「力が入る」と前と同じ、もう一度やり直します。そうして根気よくいい状態に持っていくといいはずです。
無理にとめようとすると、動こうとする力と止めようとする力が拮抗してしまう。
①や③を一生懸命行っていることが多い。早い段階で、②へ誘導すると、うまくいく。