ピアノを弾く頭脳を作るためのエクササイズ

以前、このような表を書きました。

「ピアノを弾く」ということは「今」を演奏しながら「次に行うこと」を同時に準備する。また、行われたことを「顧みる」これらが「時間的に同時に」行われることが要求されます。

では、このような「頭の中のシステム」を、ある程度意識的に作ることはできないだろうか?

おそらく「天才」と呼ばれている一部の人たちは、無意識的にあるいは意識的にこのようなことを高度なレベルで行っていることが考えられます・

しかし、幸か不幸か、私自身は鈍才である。ならば「方法を用いて」少しでも「天才の人たちが持っているであろう頭の中のシステム」を作れないだろうか?

メトロノームをゆっくりかけます。そして弾くのですが、①を弾いているときに②を見て頭の中に鳴らす。②を弾いているときに③を頭の中に鳴らす。というのをゆっくりと順繰りに意識していきます。ゆっくりですが滞らないように。

さて「準備が頭の中で鳴っていますか?またどのように鳴っていますか?」これを点検します。

だったりしたらまずいです。

のように、グループ化して頭の中で響けばとてもいいことだと思います。譜例1の場合は、それぞれの流れの中で「断絶」が起きています。譜例3のように考えつつ準備されるのが理想ですが、かなり高度なこと、と同時にそれぞれの流れがよい演奏、立体的な「波が感じられる」演奏になると考えられます。

さて。エクササイズですが「頭の中を確かめる」ということですから「外見上は本人にしかわからない」ということになります。

メトロノームでゆっくり目のテンポを設定して、楽譜を見ながら弾きます。この時に「次の小節を見て、そこが頭の中で鳴っている」ことを確かめながら弾きます。

「弾き続けながら、次に弾くところを頭の中で鳴らす、各声部が独立して認識されているか、そうしながら調和して響いているか」なども、弾きながら確かめて次へ行きます。

つまり、上図に示したことをできるように、意識的に練習するということだと思います。

教材としては、ポリフォニーの作品、マグダレーナ・バッハの音楽帳、プレインベンション、インベンション、バッハなどの組曲、シンフォニアやフーガなど、その段階に応じて日常的に行うといいと思います。

「頭の中」は見えてきませんが、ここが変わることによって「楽譜の読み方」や「音の出し方」が全然違ってきます。私たちはもう少しよく「頭の中」について考える必要があると思います。

頭の中を確かめる行為は、かなり高度な能動的な「努力」がないとできないと思います。また、意識の高い生徒にしかできないかもしれないです。

まずは、指導者がやってみることが大切だと考えています。それによって「生徒がどのような状態で弾いているか」がよりはっきりと認識できる。「なぜできるか。なぜできないか」が、よりはっきりと見えてくると思うのです。

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