拍子とリズムの問題 ・緊張と弛緩
まず、メトロノームを♩=60に合わせて、①のリズム打ちをしてみる。
♩=60のまま、②のリズムを打ってみる。 さらには、③のリズムも
たぶん、同じに感じる人はいないのではないだろうか?リズムを打つ間隔は、物理的にまったく一緒であるし、打つ音の大きさによる違いではないのは、明白だと思う。(実際に機械でパソコンのアプリで再生してみたら。まったく同じだった)
この二つも比べてみる。
これも「同じ強さ、同じテンポ」で叩いても、叩き方が違う。さてこれらのことを「ピアノの鍵盤上でやってみる」おそらく、弾き方が違うし、きちんと弾けば聞き分けられる。
2拍子➡1と2と
4拍子➡1234
同じ速さで数えてみても、違う。それは「と」というものにある種の「緊張」を感じるからだと考えられる。1234のうち 2や4はそれほど緊張を感じないが、1と2とのうちの「と」は「間に入れてもらう」イメージがあり、「窮屈」であるので緊張を感じる。手を叩くための準備の時間が限定されているからであろう。つまり、これらの感じ方によって「手の打ち方」が変わってくる。ということはピアノに置き換えてもそれは成立する。
バッハのインベンション6番はその「左右のリズム感の違い」を弾き分ける必要があるのでは?
では、なにがこの「リズム感」を変えるのか。
Aの場合は、拍頭と音を出す点が一緒であるので「忙しくない」また、拍と同時なので「安定している」
Bの場合は拍が来る点に気をつけながら、ほかの時点に打点を準備する「めまぐるしい」といえる。また、拍のときに気をつけながらやり過ごすという「不安定さ」がある。(シンコペーションは、リズムの不安定さを抱えながら踏みとどまっているリズムである)
ハイドン:ピアノソナタ ニ長調Hob.XVI-37 第3楽章 87-93
1は、左手の後打ちが緊張を持って演奏されます。拍の頭ではなく裏にぴったり入らなければならないので、手の動作として構えがあります。もちろん機械で再生すると、1も2も同じに鳴ってしまいます。
2はその緊張がなく、同じパターンが続くという安心感のもとに弾いてしまいます。
1はいわば2人の違う奏者がタイミングを取り合ってたがいちがいのリズムを成立させているようなもの。同じ音の連打なのに、このような「緊張状態」を作り出すことができます。