ペダルを踏まない難しさ

ブルグミュラー 25のやさしい練習曲 作品100 22。舟歌

先日、ちょっと気になってこの曲を弾いてみた。

13小節・ここから歌が始まる。譜例1 右手はよくのびやかに歌うことが要求されている。そして、左手はleggiero(表記は前の小節の左手パートに書かれている)

もし、左手が、譜例2だったら、ペダルを踏んで右手の旋律をのびやかに響かせて歌いたくなる。

しかし、実際にペダルを踏むと、このリズムが消え、音楽の進みが重たくなってしまう。どうしても右手は「ペダルなしでのびやかに響かせつつ歌う」ことが要求される。譜例3 やはり、この左手は生かしたい。

はねすぎても、べたついても何だか違う。休符の入れ方。和音の柔らかさ。また、ハーモニーが変化するときの、微妙なふくらみとでもいうものもほしくなる。どう弾いたら「ヴェネツィアの水、空気、空。町があらわせるのか?」

もし私が校訂者だったとしても、ここには安易にスラーやスタッカートを入れることができない。その「微妙な表情」は、演奏者各自がその時にタッチで醸し出してください。

古典派の時代の「上半分、下半分に分かれたダンパーペダル」がうらやましい。これがあれば「上声はダンパーペダルあり、下声はダンパーなし」ができる。

ベートーヴェンの初期、中期のソナタを見てみると「上半分、下半分のダンパーペダル」を考慮に入れたとみられる書法がある ピアノソナタ第2番 第2楽章冒頭 右手はtenuto sempre左手はstaccato sempre右手にだけダンパーペダルを使いたくなる。

ベートーヴェン;ピアノソナタ第12番作品26 初版 第1楽章214小節

ペダルを踏む表記が「senza sordini」(直訳すると、弱音器なしに)になっている。ペダルの表記がまだ確定していないころ。 上下それぞれに書かれている。ダンパーペダルが上下別に使えるから。

現在の楽譜表記

Pedalをどのように使うか、それは、その人の表現したい音楽、技術などと密接に関係している。様々に工夫して、響きをよく聴くことが求められている。

私の方法とは全く違う解決法もあるかもしれない。各自で様々に工夫してみるといいです。また、工夫した結果を教えていただけたりしたら幸いです、

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