ピアノ演奏における下行形について

Photo4 2 だいたい人間は、上に行く時は注意深く、降りるときはもう一つのようだ。走りでも坂を下るとき足を痛めやすい(確か、箱根駅伝の解説で聞いた話)だし、登山も下りで遭難が多いという。階段でも下りるほうが転んだり足を痛めたりしやすい。(私も下りの階段で肉離れをしてしまった経験がある)人間だけではないかも、猫たちも小鳥を追いかけて、木や屋根に登って降りられずにギャーギャー言う、などというのは誰もが見たところであろう。
さて、ピアノの演奏上の下行について。これも、ひとつは「油断」もう一つは、人間に共通する「下行が苦手である」ということからきているかも。と思う。そこでいくつか解決方法を考えてみたい。
1.スケールの場合
スケールに、クレッシェンドとデクレッシェンドを書きこんでみた。①aのつもりで弾くとXぐらいの地点が頂点に感じられる演奏になることが多い、というのも「登るエネルギー」がかかるので、頂点に行く前に押し戻されてしまう。そこで、bのように感じて弾くと「山を乗り越える」ことができ、下行もスムーズになる。技術的には頂上を越えたあたりで「指使い」や「手のポジションの変化」を意識することにつながり、そのあとの下行が安定しやすい。私はbのように弾き、赤○にいくぶんエスプレッシーヴォを感じる(但し、おおげさにならないこと。この強弱と表現は、気持ちの中で思うだけでも安定して弾くために効果がある)といいと思う。
また、練習として下行からはじめるスケールをやってみる。(譜例下)
2.ゼクエンツを数える
ゆっくり脇で「ひとつめ」「ふたつめ」言って意識させる。②ちなみに音楽の中で数える方法というのは、多種多様にあり、教師はその場その場に応じて(生徒の状況と音楽の内容)様々な数え方を準備する必要がある。「1」と言われたら人間は「2」に値するものを自然と準備しようとする。レッスンの現場で「生徒の脳にその瞬間を逃さず意識させる」ことが求められる。こちらも参照(同じ文章はfacebookにもあります)http://m-ohtake.blog.ocn.ne.jp/mohtake/2013/02/post_7d2b.html
3.音楽の形を認識する
モーツァルトのKv545の例。スケールの最後の部分がカデンツになっている。③このハーモニーの展開を丁寧に。4拍目の右手の16分音符と左手の和音をはっきり意識する。2番目の譜例では、左手の指変えが、通常のスケール練習のものと異なる。要注意。
クーラウのソナチネ、④この場合、拍子ではヘミオラを感じる。1の指をいくぶん丁寧に弾くと安定して降りることができる。
バッハの平均律クラヴィア曲集第1巻の21番フーガ。⑤6度の下行形のハーモニーの動きに注意。このフーガは各小節の3拍目から1拍めへの移行により、展開させている。面白いことに、このフーガは小節の3拍目から1拍目をつなげていくと、曲のつじつまが合う。このような構造も把握しつつ、下行形を丁寧に弾く。
このように、教師は多種多様な音楽の形、テクニックのツボを心得て、適宜指摘していく。指摘する「瞬間」を逃さない。注意は「ある瞬間」に行うもので、教師はそのポイントをよく知っていることが望まれる。

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