響きの広がりを体感すること
ちょこちょこ、Facebookで私の周りでは「電ピ」に関する話題が出ています。私の「電ピ」に対する姿勢は、一貫して変わらない、というより「より強まった」と思っています。
何よりも「自分と音」の関係を築くことが「電ピ」では「理論上不可能」であるということ。
電子ピアノは「自分の作った動き」が「音」になっていません。ですから、生ピアノのような「自分と音との関係」を築くことはできないです。特に子供は「自分の行動とその結果」を結びつけている時期であり、しかも大人よりも可聴範囲が広いはずです。
手を叩いたら、手から音がします。子供は体験からそれを学んでいます。もし、手を叩いてもそこから音が出ないで、3メートル離れたスピーカーから音がするのだったら、子供は「手を叩いたこととその結果の音」を結びつけることができるでしょうか?生ピアノは、自分の指の先を追っていくと、自分の作った動きが音になっているのがわかります。
これは、電子ピアノがいかにいい音を出すようになっても「違う」と言えます。
また、生ピアノは「ペダルを踏む」と、振動が他の弦や楽器全体に共鳴します。つまり楽器自体が「広さ」を持ち音響が「拡がり」を持ちます。この「響きの拡がり」を「広げたり収縮させたりする」ことが考えられます。もちろん最初からそれは難しいのですが、その「響きの拡がり」を「体感・体験」することは「ただ弾けるようになる」ことよりもずっと大切なのではないでしょうか?
私は、数多く子供たちのピアノを弾く機会があります。近年の傾向として「響きを作る」「自分で音を作る」演奏者が少ないと感じるのは、気のせいでしょうか?「電・・・」で練習し「ス××」のスピーカーから出る音を真似する・・・まさかそんなことはないですよね。ましてはピアノの先生が「スマホで聴いて練習しなさい・・・」なんて、あるわけないですよね。
子供は「大人よりも可聴範囲が広く」より「空気の振動」を生身で感じるはずです。ですから、普段のレッスン時に「楽器の響きの広がり」や「振動」をより体感させて、と思います。また、それらが「自分の伝えた動き」が音になって広がって響きになっていることを、体感する、ピアノの楽器そのものの「大きさ」「広さ」とともに感じるような配慮が、指導者に求められると考えています。
レッスンの時、なるべくピアノの大屋根を上げて、時には譜面台も外して、ピアノの音が立ち上がってくるところを実感させる。指導者が「広がりのある響き」を実際に演奏で聴かせるなど、意識的に積極的に行うべきだと思っています。