豊かな表現のために

様々なまとめ方と、表情で、どのように聞こえるかを実験し、考察していきます。もちろん、表情は「強弱」だけではないのですが、とりあえず強弱で実験してみます。また、実験考察なので、時代様式と違う弾き方や、楽譜の記述からはみだすこと、普通ではしない解釈のしかたも出てきます。しかし、このような「実験」の中から「演奏を考え、より豊かな音楽を得るためのヒント」が抽出されるものと信じています。またその「抽出されたアイデア」が、楽曲演奏に生命力を持たせることを信じています。

Ⅰ.まず、バッハの書いた音楽帳の中から、ペッツォルトのメヌエット ト長調です。

Ⅰ-① 右手だけ、強弱、2小節でひとまとまりで弾く。左手は表情強弱なし。

Ⅰ-② 左手も、右手と同じ2小節単位で弾く。強弱は右手と同じにする(伸ばされる音符なので不可能だが)

Ⅰ-③ 右手は2小節単位、左手は4小節単位で独自の強弱で弾く。

Ⅰ-⑤ 右手は2小節、2小節、4小節くくり、左手は8小節まで長いフレーズで大きな○を書くような気持ちで、それぞれ独自に表情をもつ。

Ⅱ.同じく、BWV. Anh.116の場合

Ⅱ-① 右手だけに強弱

Ⅱ-② 左手を右手と同じ強弱、右手とおなじにくくる

Ⅱ-③ 右手、左手独自に強弱、くくる

ブルグミュラー25のやさしい練習曲 作品100「素直なこころ」

Ⅲ-⓵ 右手のみの強弱

Ⅲ-② 右手、左手それぞれの強弱

それぞれの強弱を設定数値(1~5)で設定してみた

Ⅳ-② 4小節を一つの大きな山として認識するほうが、より自然に聞こえる。

Ⅴ-① 左手は表情や表現を持たない、ただ静かに弾く。

Ⅴ-② 左手のまとまりを右に合わせる。ブレスも同時に取る

Ⅴ-③ 左手は独自に長い歌い方をする、

重要なこととして

  1. 不自然な表現は、ある特定のパートだけが表情を持って、他のパートが無視されているときにおこることがある。あるパートの表現を大きくとる場合、もう片方の「支え」がしっかりしているときには「不自然」に聞こえない。
  2. 曲の大きなまとまりと、小さなまとまりが同時に存在することがよくあり、これらを見落とした場合に不自然になる。
  3. ハーモニーの変化を大きな流れで追っていき、そのテンションの変化によって歌うことができることが必要不可欠である。
  4. パート別に、まとめ方、歌い方が違うこと、そして「それぞれ両方」ができることによって。豊かな表現につながることが考えられる。

おそらく、Ⅰ-① Ⅱ-① Ⅲ-① Ⅴ-① をやってしまい「不自然」といわれて、今度は「全体に委縮した演奏」になってしまう。あるいは、この二つの間を往復してしまうことが、多く起きていると思います。

Ⅰ-③、Ⅱ-③、Ⅲ-② Ⅴ-③ などのケースなどを見ると、左手の表情を独自にとることによって、
右手も「かなり大きな表情で、しかも不自然にならない」状態が作れます。
これらのケースは、左手の表情が独立していないと「不自然」に聞こえます。
全体の把握をすることにより、思い切った豊かな表現ができるということです。

今まで批判してきた「ぶら下がり読み」や「ジグザグ読み」では、各パート別に表情を表せない読み方なので、これらの豊かな表現をすることはできません。本来、つながりのある線を、分断して読んでいるからです。

音楽的な能力を高める方法としては、ソルフェージュ、聴音などに
「2声のデュエット」としてのエクササイズを入れることが考えられます。2声聴音、バスを弾きながらソプラノを歌う。他にも、2声でできた構造の単純な作品の初見演奏などです。
基本的に「二重奏」のつもりでピアノを弾いていると、このような感覚が育ってくることも考えられます。また、バッハのインベンションは、その意味でも最高の教材と考えられます。

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