「左手の緊張感・休符が入っても続いていく」
こんにちは。
明石市魚住の大竹ピアノ教室の大竹道哉です。
本日もブログを発信していきます。
先日、チャイコフスキーの「新しいお人形」左手パートにこだわってみた。そのほかにもここ数日、レッスンで気になったパートがある。
この左手のパートだけを取り出してみる。休符で緊張感を失わずに、フェルマータまでを一つのまとまりに聞かせるのは難しい。
しかし、この左手が機能しないと、曲の持つ緊張感の持続が崩壊してしまう。
これなども、左手だけを取り出してみると、正しいリズムとタイミングだけでなく、和音の位置関係や、Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰといったカデンツの緊張と弛緩を正確に表して、8小節目の頭にたどり着くのが難しい。
どちらのケースも、左手が「右手のここに合わす」という感じで弾いてしまうと、緊張感のない、たるんだ表現になる。つまり、左手は左手で「準備をするタイミング」を知っておかないといけない、ということである。「片手練習」では、このような「パート別の緊張の持って行き方」なども習得するべきだと思う。
この譜のように、ただ単に、「右手のGに左手のGを合わせる」という発想だと、左手の緊張感がないことや、左手がこの後ⅣやⅥに変化していく、その表現の変化が聞こえてこない演奏へとつながってしまう。
こちらの譜も、全く同じことが言える。和音の変化という横への変化が無視される考え方である。
つまり、これらは「譜読み」の間違い、ということ。
レッスンの現場では、指導者は、生徒が「正しい譜読み」をしているかどうか、絶えず気を付けるべきだし、また、全部ではなくても「楽譜の理解の仕方」を一緒に考えていくべきだと思う。生徒の弾き方から、生徒がどのように曲を理解しているかを把握し、それが曲の文脈に沿っているかどうか、より表現の可能性のある理解であるかどうかを、指導者は見極める必要がある。
このような「ぶら下がり」や「ジグザグ読み」な楽譜の読み方では、当面は「楽に」読めるが、ある程度練習していくと、表現の可能性が閉ざされてしまう。
さて、では技術的にはどのように弾けばこの緊張感が保てるのか?
紙上で説明するのは難しい。各人によって「感覚の度合い」などがまちまちなので、一つの言葉がある人には有益でも、ある人には混乱を起こすこともある。それでも勇気をもって言うと
「緊張と弛緩の個所とタイミング」だといえそうだ。
体の動きでは、「指先にわずかな緊張」これをコントロールできるとだいぶ違う。うまくいかない人の多くは、指先の緊張と弛緩のコントロールが行っていない。あるいは指先の感覚や細やかな動きを「潰して」弾いてうまくいっていないように見える。
また「左手の休符を聴く」ということも重要。「パート譜をもって演奏する楽器の気持ちになって」休符を含めて弾いてみるといい。