貴婦人の乗馬 La chevaleresque

出だしから、軽やかなタッチが要求されます。1小節の和音が、重くなく適度な弾みを持ってリズム感のある演奏につなげていきたいです。1小節目が重くなるのは、手全体で鍵盤を押し下げていることが多いです。この方法は、いくつか問題点があります。

1.押し下げる途中に「打点」があり、その「瞬間」を意識できない。

2.押し下げるのと持ち上げるのがセットになっているので、時間がかかり、音の弾みが作り出せない。

また2小節と4小節 赤〇で囲った音が「べちゃ」とくっついてしまうと、ちょっとカッコ悪い。かといって重くなっても変だし。「手首でひねって」弾くと、2つの音が分離されずに「べちゃ」とくっついてしまいます。

私は、これらの解決策として「細やかな指の動き」を提案します。軽く細かく4と3と2の指が分離して動くといいです。慣れない場合はゆっくりから、今まで使わなかった筋肉に、ゆっくり動き方を丁寧に教えていきます。

押し下げるタッチでは、このcresc.が、だんだん重くなってしまいます。指先に軽くコンタクトを持って手の中に包み込むようにするといいです。

右手の三連符が滑らかに演奏されるといいです。意外と、左手の全音符の響きをよく気にすると、全体が落ち着いて、右手も力まずに滑らかに弾けることがよくあります。

ここのコーダの部分は、右手だけでたえず正確なテンポ、リズムがとれるかどうか

1回目、正確な後打ちのリズム、が必要。2回目、手首で回して弾くと、三連符が不正確になります。正確に細やかに指で弾くといいです。

最後のスケールは2分の2拍子のように数えると、流れがスムーズになる。

この辺りは、リズムの取り方や拍子の数え方に、いくつものバリエーションを用意して、その都度入れ替えるようにして弾くといいです。

全体として、姿勢をよく保つことが必要。自分の軸がずれないことによって、肩から指先までを様々なサイクルで使い分けることができます。

フランスのピアニスト、タリアフェロ氏は「ピアノを弾くときは乗馬の姿勢が理想」と言っていました。(ちなみに、ある乗馬のテキストに「ピアノをゆったり奏でるような気持ちで馬に乗る」というのもありました!!)

それはともかく、この曲集には、現代の日本で暮らす私たちとは「違う文化」のテーマがあると思います。その辺もよく理解することは、大切だと思います。

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