ベートーヴェン 告別ソナタの場合
明石市魚住の大竹ピアノ教室大竹道哉です。
本日もブログを発信していきます。
これは、私が弾く場合のアイデア、このように考えて弾く、というのを書き込んでみました。
- 休符を少し大きめに感じ、最初の和音は、subito pianoではいる。
- 和音を弾いてから、cresc.を感じる。一つ一つの和音それぞれ弾いた後にcresc.を感じる
- 左手にesp.を感じる。右手はだいたい自然にesp.をするから。
- ベートーヴェンのcresc.は、たいていesp.を伴っていると思うと、たいていうまくいく。
- Ces なんと個性的な音であるか。また、転調を呼び込む大切な音。そこに「ドのフラット」をあてたベートーヴェンの天才!!
- この休符、2拍目の頭をかなりはっきりと感じると、次の音の準備がしやすい。
- この休符にアクセントを感じる。またsubito pianoの緊張感と、それを開放することによって出る音。
- 2拍目の頭をcresc.の頂点に感じる
- 誤解を招くかもしれないが※、逆に伸ばす音にcresc.を感じ、次の音をとっさに小さくする。
- 22小節の付点2分音符よりも、23小節目のタイで繋がれた付点2分音符のほうに、より多くのストレスを感じて弾く。
これらのことは、集約すると2つのことです。
- 休符に対して積極的に強弱をはっきり感じる。
- 伸ばされた音を、弾いた後に「大きくなる」ように感じる。
これはどちらも「実現不可能」です。いわば「ピアノ演奏の隙間」とも言える場所を、何とかしようとする。この「実現不可能なこと」をしようとすることにより、実際に出される音の緊張感が高まり「あるべき地点にあるべき音を出そう」と強く思います。これにより楽曲の推進力が保たれ、結果的にテンポそのものもよくなります。時間の隙間を「緊張感」で埋めていく。「緊張と弛緩」を積極的に曲に導入する方法の一つと考えています。
もちろんこの度合いや感じ方は、演奏者一人一人によって微妙に、あるいは大きく違いますが。休符の感じ方、伸ばされた音の感じ方を意識することにより、演奏がより高い次元で考えられていく、演奏されていくことが可能となると思います。
ゆっくり練習するときや、場合によってはメトロノームを使って練習するときに、その「時間の隙間」を考えていけるといいです。
また、このようなことは、私には「曲との駆け引き」ともいえるスリリングなことに思えるのです。作品、作曲者と対話するチャンネルが、増えるきっかけになれば、と思っています。
※私は、ピアノソナタ第8番「悲愴」の最初の音も、fpのあとcrescendoを考える。
ゆっくり弾いてみました。
・演奏会のお知らせ 4月25日 新大阪 b-tech Japan