ショパン:エチュード作品25-1の場合

ついつい、というか、普通には次のように追って考える人が多い。

そして、以下のようにアクセントをつける。

しかし、以上のやり方では、なんか違うように思われる。

まず、次のように弾いてみる。拍の頭にある16分休符が、わずかな緊張を生み出す。1拍ごとの渦を感じることができる。

また、次のようにも弾いてみる。

ゆったりとした腕からの動きでのびのびと歌うことができる。

この二つを同時に行うということ。つまりちがう回転が同時に存在しているということ。立体的な模様として表現できる。

では、なぜショパンは

とは書かなかったのか?(ショパンは当初、上の譜例のように書いていた)

私は「ショパンの書いた音符の長さは鍵盤を抑える時間」だと考えている。その証拠としては

スケルツォ第1番の中間部・ソナタ第3番の終楽章などが挙げられる。

つまり、ショパンを弾くときには演奏者が自分で「旋律線」を探し当てないといけない。また、それによって「実は右手だけで2つの違う楽器を違うサイクルで響かせている」ということにも気がつく。これがそれぞれ同時に奏でられることにより「響きの奥行」ができてくる。

これは「どのように楽譜を読めば、より豊かな世界になるのか」を考えるための、一つの試論です。

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